Amazonで商品を販売していると、色やサイズ違いの商品を同じページ内に統合したい、既存のページに新しいバリエーションを追加したい、既にあるバリエーションを解体して組み換えしたいことがあります。
しかし、Amazonでの設定がやや複雑で面倒なので、この記事ではAmazonバリエーションの追加・統合・組み直しのやり方をケースごとに分けて分かりやすく説明したいと思います。
また、バリエーションを組む上での注意点も解説します。
Amazonバリエーション登録とは

Amazonで商品を見ていると、上記の画像のように複数の色やサイズを選べるものがあります。
普通に商品を出品すると、色やサイズ1つにつき1つの出品ページが作成されますが、バリエーション登録を行うことで、色やサイズ違いの商品を同じ商品ページ内に統合することができます。
同じページ上に出品することで、1つのバリエーションの成約に至らなくても他のバリエーションの成約に至る可能性が上がるので、商品の成約率を上げることができます。
Amazonバリエーション登録の仕組み

色やサイズ違いの商品のそれぞれを子SKUと言います。
上記の例で言うと、赤いシャツ、青いシャツ、黄色いシャツはそれぞれ子SKUです。
子SKUを1つの出品ページに統合するために、便宜上作られるのが、親SKUと呼ばれるものです。
これは実在する商品ではなく、あくまでも子SKUを統合するためだけのものです。
子SKUを親SKUに紐づけることでバリエーション登録をすることができます。
例えば上のシャツの例だと、赤、青、黄の子SKUを親SKUに紐づけることで、同一ページ上にこの3つの色のシャツが出品されるということになります。
親SKUはあくまで統合するための仮想のものなので、商品ページには出品されません。
Amazonバリエーション新規登録の手順

バリエーションを新規登録する手順を詳細に解説していきます。
また、バリエーションを追加する場合や一度解体して新たに組み直す方法も後ほど説明します。

まずは子SKUのそれぞれの商品ページを作成します。シャツの例で言うと、赤、青、黄シャツの全ての商品ページをそれぞれ作成するということです。
もう既に子SKUの商品ページがある場合には新しく作成する必要はないので次のステップに進んでください。

子SKUを統合するために、親SKUを作成します。
親SKUは、子SKUをまとめる器のような役割を果たします。

色やサイズ違いの子SKUを親SKUに紐づけします。
これにより1つのページに複数のバリエーションを統合することができます。
それぞれの詳しい方法を説明していきます。
子SKUをそれぞれ作成
まずは子SKUを作成します。
Amazonセラーセントラルのメニューより「カタログ」→「商品登録」へと進みます。

「商品の出品」より「空白のフォーム」→「開始」を選択します。

商品登録画面より商品情報や詳細など、必要な項目を埋めていきます。

既に子SKUが作成済みの場合は再度作成する必要はありません。
ただし注意する点として、子SKUの商品ページ編集画面の色やサイズを、後ほど設定する親SKUのものと正確に一致させておく必要があります。
例えば、親SKUのバリエーション画面だと「赤色」なのに、子SKUだと「レッド」だとエラーになってしまうので、既に子SKUのページを作成済みであってもここだけはチェックしておくようにしてください。

親SKUの作成
Amazonセラーセントラルのメニューより「カタログ」→「商品登録」へと進みます。

「商品の出品」より「空白のフォーム」→「開始」を選択します。

商品登録画面より商品情報や詳細など、必要な項目を埋めていきます。
子SKUの情報と同じで問題ありませんが、親SKUは仮想上のSKUなので、色やサイズなどの個別の情報は記入する必要はありません。
Amazonバリエーションの統合
先ほど途中まで作成した親SKUの商品情報編集画面で「バリエーション」のタブを選択し、必要なバリエーションタイプを選択します。

次に「バリエーションタイプのすべてのバリアントを以下に記載してください。」の部分に色やサイズを記入して「Add」ボタンを押します。
色やサイズ、ユニット数(個数)などを1つだけ選ぶことも出来ますが、複数選ぶことも出来ます。
複数選択する場合は、全ての色、サイズなどを記載して「Add」ボタンを押してください。

色やサイズを記載して、「Add」ボタンを押すと下にバリエーションが追加されていきます。
それらの「外部製品コードの種類」や「商品の状態」、「画像」、「商品の販売価格」などの項目を埋めたら完了です。
これにより、バリエーションが統合され、1つのページ内に色やサイズ違いの商品を表示することができるようになります。
Amazonバリエーションの追加方法
既存の親SKUにバリエーションを追加するだけの場合には、「カタログ」→「商品登録」で表示される「商品の出品」下部の「バリエーションの作成」から簡単に行うことができます。

「既存のバリエーション商品を追加または更新する」→「バリエーションを追加」より子SKUの情報を記載することで新しいバリエーションを追加することができます。

この方法では既にあるバリエーションの種類(色やサイズなど)に新しいものを追加することはできますが、新たにバリエーションの種類を増やすことはできません。
つまり赤色と青色のシャツが既にある所に黄色のシャツを追加することはできますが、新しくS,M,Lなどのサイズを追加することはできません。
新しくバリエーションの種類を追加したい場合には、以下の方法でいったんバリエーションを解体して新たに組み直す必要があります。
Amazonバリエーションの解体、組み直しの方法
既にバリエーションがある場合には、いったんバリエーションを解除する必要があります。
Amazonバリエーションを解体するためには、親SKUを削除しましょう。
親SKUを削除したとしても子SKUは削除されないので、レビューや販売実績などの積み重ねてきたものは全て残ります。そのため、親SKUは削除しても問題ありません。
親SKU(親ASIN)削除方法
Amazonセラーセントラルのメニューより「在庫」→「全在庫の管理」へと進み、親SKUの「商品情報の削除」をします。


バリエーションの組み直し
新しく親SKUを作って新たなバリエーションの種類を設定し、子SKUと親SKUを統合します。
これは先ほどのAmazonバリエーション新規登録の手順のステップ2とステップ3を行ってください。
バリエーションを組むべき、組むべきでないケース
実は、バリエーションを組まない方が良いケースも少なくありません。
その判断をするためには、まずバリエーション登録のメリットとデメリットを正しく理解しておく必要があります。
Amazonバリエーション登録のメリット
- 商品ページの成約率が上がる
- 複数の子SKUの商品レビューを1つに集約できる
- 販売実績が集約される
バリエーションを組むことで、ページ内でお客さんの選択肢が広がるため、購入に繋がりやすくなり、成約率が上がります。
また、レビューや販売実績も1ページに集約されるため、検索順位や転換率の向上にもつながります。
Amazonバリエーション登録のデメリット
- セッション数(PV数)が減少する可能性がある
ただし気を付けなければいけないのは、「セッション数(PV数)が減少する可能性がある」ということです。
Amazonの検索結果では、同一の商品ページは原則1つしか表示されません(広告は除く)。
そのため、例えば商品Aと商品Bを別々の商品ページに(バリエーションを組まずに)出品していると検索結果に商品Aと商品Bの両方が表示されますが、バリエーションを組むことでAとBどちらかしか表示されなくなってしまいます。

上の画像のように検索結果にはSAVASの商品が5種類表示されていますが、レビュー数がどれも違うことから分かるように、これらは全て別々の商品ページに出品されています。
もしこれらが同じ商品ページに出品されていたら、1つの検索結果につきどれか1つの商品しか表示されなくなってしまいます。
このように、バリエーションを統合してしまうことで検索結果に表示される機会を失い、ユーザーの目に留まらなくなる=機会損失が生まれる可能性があるのです。
そのため似ている商品であっても、何でもバリエーションでまとめれば良いというわけではない、ということです。
バリエーションを組むべきか?避けるべきか?
以下は、バリエーションを組むべきかどうかの判断基準です。
バリエーションを組むべきか | |
---|---|
色 | 必ず組むべき |
ユニット数 | 組むべき |
サイズ・量 | 組むべき |
デザイン | 微妙 |
機能 | 避けるべき |
色、ユニット数、サイズ(量)が違うだけの場合は基本的にバリエーションを組んで同じページに出品した方がいいです。
ただし、サイズ違いで用途が変わるような商品の場合など、分けた方がいいケースも稀にあります。
デザイン、機能違いの商品については明らかに別の商品なので、機会損失を避けるためにも基本的にページは分けた方がいいです。
ただしデザインの中でも柄の違いくらいなら、同じページに出品してもいいでしょう。
バリエーションは増やしたほうがいいのか?
商品を企画・開発する際や、販売が軌道に乗ってきたタイミングで、「バリエーションを増やせば売上が伸びるのでは?」と考える方は多いと思います。
確かに、新商品を一から開発するより、既存商品のバリエーションを増やす方が資金や労力は少なく済みます。そのため、効率的に売上・利益を伸ばす手段に見えるかもしれません。
しかし、実際にはバリエーションはむやみに増やさない方が無難です。特に資金が限られている場合には、慎重な判断が必要になります。
バリエーションを増やす落とし穴
バリエーションを増やす最大のメリットは、当然「売上の増加」です。ただしその裏には、在庫管理の複雑化という大きなデメリットが存在します。
例えば、ある商品の月間販売数が以下のようだったとしましょう:
- 白色:1000個
- 黒色:500個
- 赤色:200個
- 青色:100個
このように、売れ行きに大きな偏りがあるのはよくあることです。
仕入れでは、できるだけまとめて発注する方が仕入れ単価や配送コストを抑えられるため、どうしても売れ筋(この場合は白や黒)に合わせたタイミングでの仕入れになります。
あまり売れないバリエーション(この場合は赤と青)は、そもそもの在庫数が少ない上に、仕入れのタイミングが売れ筋SKUに合わせられるため、補充が間に合わず在庫切れを起こしやすくなります。
「じゃあ最初から多めに仕入れればいい」と思うかもしれませんが、そうすると今度は滞留在庫となって資金が無駄になるという問題が出てきます。
資金が限られているなら、バリエーションを絞るべき
資金に余裕があるなら、多少の滞留在庫は問題ありません。しかし、たとえば運転資金が1000万円以下のような規模では、この滞留在庫が致命的な資金ロスになります。
そうした場合は、バリエーションを増やすよりも新商品を開発する方が効率的です。
結論:目安は「3~8バリエーション程度」
扱うバリエーション数は、基本的には3種類程度、どれだけ多くても8種類以内に収めるのが現実的です。
それ以上になると、在庫管理・資金繰りの難易度が急激に上がるため、売上拡大のつもりが、結果的にキャッシュフローを圧迫するリスクが高まります。
ただしこれは原則であって例外もあります。
先ほど説明した資金量の他にも製造・配送リードタイムが短く在庫管理がしやすい場合は比較的多くのバリエーションを扱いやすくなります。
以上のことを踏まえて、ご自身のビジネスの状況に合わせて適切に判断するようにしてください。
まとめ
Amazonバリエーション登録の方法や、バリエーションを組むべきか、バリエーションを増やすべきかについて解説しました。
それを以下に簡単にまとめました。
Amazonバリエーション登録の手順
- 子SKUをそれぞれ作成
- 親SKUの作成
- 親SKUと子SKUの紐づけ
バリエーションを組むメリット・デメリット
- 商品ページの成約率が上がる
- 複数の子SKUの商品レビューを1つに集約できる
- 販売実績が集約される
- セッション数(PV数)が減少する可能性がある
バリエーションを組むべき・組むべきではないケース
バリエーションを組むべきか | |
---|---|
色 | 必ず組むべき |
ユニット数 | 組むべき |
サイズ・量 | 組むべき |
デザイン | 微妙 |
機能 | 避けるべき |
バリエーションを増やすべきか?
- バリエーションの数はむやみに増やすべきではない
- 基本的には3種類程度、多くても8種類以内
- 資金が限られている場合は特にバリエーションは少ない方がいい